みなさんの歯は黄ばみがありますか?
それとも、茶渋やヤニなどで着色していますか?
もしかすると、灰色(グレー)系の着色が気になられる方もおられるかもしれませんね。
実は、歯が着色する原因には、いくつもの理由があります。
歯科医院で行う歯のホワイトニングは、着色の原因を鑑別し、的確に作用するように施術を行っていきます。
今回は、みなさんがわかりやすいように歯が着色するいくつかの原因についてご説明いたしますね。
歯が着色する原因
外部由来による着色
飲食物による着色
飲食物による着色には、カレーやコーヒーなど色のついた飲食物が挙げられます。
みなさんもイメージしやすいのではないでしょうか。
特に、コーヒー、お茶、ワインなどのタンニン系化合物を含んだ飲み物が特につきやすいです。
実は、コーヒーより赤ワインや紅茶・お茶(タンニンが強い)が着色しやすいのです。知っておられましたか?
TVや通販などで人気の健康茶などはタンニン成分が多く含まれていることが多いので、気をつけて下さいね。
喫煙による着色
煙草のニコチン(ヤニ)の大半は、歯の一番外側にある「エナメル質」表面に沈着します。
これらのヤニは、歯のクリーニングで除去が可能です
。
しかし、長期間の喫煙を続けていると、ヤニが歯質内部まで浸透しているため、ホワイトニングが必要になります。お気をつけ下さい。
虫歯による着色
虫歯により脱灰した歯質に、黒色色素産生菌の色素やコーヒー紅茶などの飲食物が浸透し、さらに着色したものです。
歯を見ても、普通の方は「ただの着色なのか、虫歯なのかわからない」ですよね。
安易に触るのはとても危険ですので、必ず歯科医院に行き、虫歯かどうかみてもらうようにしてくださいね。
ちなみに、
エナメル質表層に限定されている虫歯は、経過観察もしくはプラスチックレジンによる治療が一般的です。
(これらは保険適用内ですみます)
*初期の脱灰段階では、チョーク様の白濁斑を呈し、これをホワイトスポットともいいます。
(ホワイトスポットの原因には、初期虫歯だけではなく、エナメル質形成不全もあります。)
口腔清掃不良による着色
あまりに歯磨きをせず、口の中が不潔でいると、様々な細菌が急増します。
その中でも色素生成菌により、歯の色が緑色、黒色になることがあります。
現在では毎日歯を磨かない人はほとんどいないので、極めてまれなケースです。
薬剤による着色
意外に多いのが、マウスウォッシュ系洗口剤による歯の着色です。
ヨード系うがい薬(イソジンなど)、Ag+など金属イオン配合の口臭予防洗口剤、クロルヘキシジン系洗口剤などで口をゆすいでいると、だんだんと歯が着色してきます。
CMでもよく流れていますので、モンダミン、コンクール、イソジンなど、風邪予防や口臭予防・歯周病予防に使われている意識の高い方も多いのではないでしょうか。
しかし、これらの洗口剤を日常的に毎日使うのは、「歯を白く保つ」ためには控えておいた方がよいです。
デートなどここぞというときに洗口剤を使われるのは大丈夫ですが、毎日使っていると確実に歯が着色してきますのでお気をつけ下さい。
金属の補綴物による着色
メタルコア、アマルガム、メタルボンドなどに使われる腐食性の強い金属から銀イオンが酸化して黒変し、マージン部歯肉や歯が変色するケースがあります。
これらはホワイトニングではなく、被せ物の歯をやりかえないといけません。
金属系の歯ではなく、金属を使わないセラミック歯で再治療されることをおすすめいたします。
光重合型コンポジットレジンの変色
小さい虫歯治療でよく使われているのが、光重合型コンポジットレジンです。
前歯に白い詰め物が入っている方は非常に多いと思います。
これらコンポジットレジンは、光重合触媒として配合されているアミン系化合物によって、経時的に変色する性質があります。
いったん変色すると、天然歯とコンポジットレジン修復との色の差が目立ちます。
レジンを研磨することである程度光沢感を戻すことは可能ですが、ホワイトニングは人工物に効かないので、白くならなりません。
そのため、コンポジットレジンの変色がある場合は、レジンの再修復が必要です。
その場合は、ホワイトニングを行なった後、白くなった歯にあわせて1週間ほどあけてレジン再修復を行います。
この場合のレジン修復は、保険診療のレジンでは色調が単調なものしか使うことができないため、再修復しても「のっぺり」とした「いかにもプラスチックを詰めています!」という歯になってしまいます。これでは、ホワイトニングをせっかくしても意味がありません。
自費診療のコンポジットレジンは、色調のバリエーションが豊富で、かつ光沢や研磨生に優れたものが揃っています。
天然歯との境目がわからないくらい、自然な仕上がりにする場合は、自費診療のコンポジットレジンをおすすめします。
内部由来による歯の着色・変色
加齢による歯の着色
加齢によりエナメル質がすり減り薄くなると、象牙質は神経を守るため第2象牙質を作り、厚みを増していきます。
その結果、象牙質の黄色い色が透けて黄ばみが目立つようになります。
これが、「年をとると、歯が黄ばむ」原因です。
ちなみに、もともとの象牙質の色が生まれつき決まっています。
日本人は黄ばみが濃い民族です。
また、エナメル質はほとんど無機質で構成されているが、その隙間に着色物質が入り込み、歯の変色として表れてくることもある。
遺伝性疾患による変色
エナメル質形成不全症・エナメル質減形成などの遺伝性疾患では、生まれつき歯が黄ばんでいることがあります。
軽度では一部に縞模様や白濁がみられ、重度になると象牙質が露出し歯が褐色をしています。
部分的なエナメル質形成不全では、「ホワイトスポット」様の白濁もみられます。
これらの遺伝性疾患では、ケースにより審美治療(セラミック治療)かホワイトニングか、最適なものが変わってくるので、患者さん自身の希望だけではなく、歯科医師の診断が非常に重要です。
失活歯で歯が変色
失活歯とは、歯の神経が死んでしまった歯のことです。
神経が死ぬのは外傷や虫歯などの原因が多いですが、歯冠が多く残っている場合は、かぶせ歯の治療をせず、そのままにしている方も多いです。
また、歯の神経が死んでいることに気づかない方もわりとおられます。(痛みがないため)
失活歯は時間が経つと変色してくるので、変色してはじめて歯科医院に行き、「歯の神経が死んでいる」ことに気づく方もいます。
失活歯が変色する原因は、血液や歯髄組織変成物が象牙細管内に侵入し、緑色・灰色・黒色などに変色からと考えられています。
失活歯を白くする場合は、インターナルブリーチもしくはセラミック治療を行います。
歯の神経治療が終了していることが絶対条件です。
フッ化物(斑状歯)の着色
高濃度のフッ素塗布、フッ化物洗口などを繰り返していた場合、斑状歯と呼ばれる変色した永久歯が生えてくることがあります。
昔は兵庫県宝塚市の一部地域の河川に高濃度のフッ化物が天然で含まれていたため、その地域に住んでいた子供の歯が斑状歯になったこともあります。
エナメル質表面に不定形の白濁〜褐色がみられます。
変色が強い場合は、ホワイトニングよりもセラミック治療が望ましいです。
テトラサイクリン歯による着色
出生時〜6歳くらいの歯の形成期にテトラサイクリン系抗生剤を投与されていると、グレー系〜黒色の強い変色がおこります。
変色が左右対称に発現するのが特徴です。
紫外線(日光)にあたることによっても変色がおきます。
テトラサイクリン歯の場合は、変色の程度によりますがオフィスホワイトニングを何回も重ねることと、ホームホワイトニングを半年以上続けることが必要です。
非常に重度の場合は、セラミック歯によるかぶせ歯治療を行います。
歯の着色の相談は歯科医院へ
このように歯の着色には多くの原因があります。
一概に「歯の黄ばみ→ホワイトニングをすれば綺麗になる」というわけでもありません。
もちろん、安いホワイトニングで十分だと結論づけるのも早計です。
歯科医院でのホワイトニングにも、何の方法でどのくらい回数を行えば、どのくらい白くなっていくのか、という診断・計画が必要です。
原因を知り、的確な診断と治療がよい結果をもたらします。
歯の黄ばみが気になる方は、ホワイトニングや歯の着色について詳しい歯科医院でご相談されてくださいね。